ソーシャルゲームの課金がやめられない理由と対策を、行動経済学とアドラー心理学で読み解く

 

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昨今、大流行しているソーシャルゲーム。スマホ一つで手軽に楽しめるがゆえ、有料課金で破産してしまう方の報道は枚挙にいとまがありません。

参照: ソーシャルゲーム課金で全財産を失い家賃も払えず、友達に借金しまくったニコ生主のツイッターがヤバイと話題に なぜ普通の主婦が月4万円もソーシャルゲームに使ったのか

 

ソーシャルゲームをやっていない人からすると、「なぜこんなに使ってしまうのか?」  と感じることかもしれません。

私もそうでした。あるスマホのゲームにはまっている先輩が「ついに課金が大台突破しちゃったよ」と言っているのを聞き、(その大台が10万なのか、はたまた100万なのかわかりませんが)「無料で遊べばいいのに」と思っていました。 しかしいざやってみると、驚くことに課金したくなってしまうものなのです。

 

そこで、今回はソーシャルゲームの課金をやめられない理由を、行動経済学の観点から分析してみました。

統計学がビジネスや生活全般において高い人気がありますが、統計学が「どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す最強の学問」であるならば、行動経済学は「人間を意のままに動かす最強の学問」と呼ばれます。
人間の行動は必ずしもすべてが合理的なものではありません。現代社会が便利になればなるほど、情報の量が増え、インターネットを中心にステルスマーケティングが横行。さらには景気の変動や先行きの不透明さにより、目の前の “お得に見える情報” に飛びついてしまいがち
大手広告代理店等で長年マーケティングをご担当された橋本之克氏は、現代の消費者の多くが購買において非合理的な意思決定をしているとした上で、”行動経済学を学んだ1割だけが生き残る時代” とも述べています。
そんな時代に大流行しているソーシャルゲーム。1回数百円からの課金も、 “気づいたら大金を使ってしまっている” のはなぜなのでしょうか。
そして、なぜ課金をやめることができないのか。
「やめられない、とまらない」昔あるお菓子メーカーがこのフレーズを用いて商品の大ヒットを記録しましたが、まさにソーシャルゲームにあるのは強い中毒性。これらを引き起こす3要素を理解することで必ずソーシャルゲームの課金を回避することができます。
それでは一つずつ見ていきましょう。

①保有効果

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まず、ソーシャルゲームにおける課金対象の多くは、ゲームに役立つアイテム、稀少度の高いアイテムなどを手に入れることにあります。
このアイテムを集めるという行為は、保有効果を刺激します。すなわち、レアアイテムや強いキャラクターを自分が持っていること自体に価値がある、というものです。
人間は誰しもコレクションすること、つまり収集して我が物にすることが好きな生き物とされています。
それもソーシャルゲームの場合、どれほどあるかわからないのではなく、これほどの数がある、この限定キャラのカードがある、といった風に存在する範囲、事実が明確となっている場合が多いのです。
このことが、「コンプリートしたい!」という目標をユーザーに自然に持たせてしまうのです。
そしてソーシャルゲームは、課金しないと手に入れることができないアイテムまで用意され、アイテムを持っていること自体によりプレミア感・愛着が沸く工夫がされています。これらが保有効果を高め、課金したいという思いにを掻き立てるのです。

②サンクコスト

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次に、人はサンクコストを気にしてしまうという点です。サンクコストとは、沈む+コスト、という言葉で、既に消費した時間やお金のこと。それらはなかなか割り切ることが簡単でなく、途中放棄が難しいのです。
これはどういうことかというと、「途中で課金をやめようかな」と考えても、これまでに有料課金した過去の実績を直視すると、「あと少しでコンプリートできる!」という思いが発生してしまうのです。
ゲームを好きになればなるほど、ソーシャルゲームでは自分でも気づかないほど、完璧主義になってしまいがち。中途半端に終わらせると、これまで集めたコレクションが(中途半端な状態では)価値がない、と思えてしまうものです。
このサンクコストは、大学受験における浪人の積み重ねや、難関資格試験の学習、ビジネスにおける巨大プロジェクトへの投資などの場合も作用します。
ここまで長い間、多くの時間やお金をかけてやってきたことが結果として結びつくまではやめられない、という思考が働き、合理的な判断ができなくなってしまうのです。

③同調効果

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最後に、ソーシャルゲームが通常のテレビゲームと決定的に違う「ソーシャルである」という特性から、同調効果があげられます。
すなわち、スコアなどでランク付けされ、プレイヤー全体における自分の位置がわかる点、また他者と協力しながらゲームを進めていくということが、課金するモチベーションに寄与しているのです。
これはゲームがバーチャルの世界でありながら、現実社会で自分を表現していることと同じ現象が起きています。
自己の評価が、人や社会との関わり(ソーシャル)によって評価されるという思いが強くなってしまうと、早くクリアしたりハイスコアを出して人より上の評価だと見られたい、という思いが強くなってしまい、つい課金をしてしまうということです。

どうすればいいのか

結論(=課金の回避策)として、私個人の回答としては、結局は「自分の評価を自分自身でするという意識付け」が最も必要だと考えます。
周りがどのような評価をするか、人の見る目ばかりを気にしていては、いつまでたっても自分自身を生きることはできない。誰かの評価のために自分を曲げ・変えて生きることになってしまいます。
これは「嫌われる勇気」等で解説されるアドラー心理学の考えですが、ソーシャルゲームにおいては、1点目の保有効果や3点目の同調効果が、社会の中で自分がどう評価されているか、を意識するがゆえに重きを置いてしまうもの。
そして2点目のサンクコストについても、過去の自分を意識しすぎて、囚われている結果だと思うのです。
周りや過去の自分に影響されすぎず、今、この瞬間から自分自身が自分の評価軸でどのように生きていくかを考えることがベストな判断なのではないでしょうか。