ブロックチェーンは、各国政府にどのような変化をもたらすか。
本エントリーでは、ConsenSys Mediaのコンテンツを参考に、ブロックチェーンが政府をどのように変えていくか、見ていきます。
①徴収選挙の投票
ニューヨークのCardozoロースクールのAaron Wright教授によると、ブロックチェーンの核は “資産管理プラットフォーム” であり、政府が膨大に管理する資産の管理がまず一つ、需要が大きい領域として挙げられます。
例えば、選挙における投票にかかる情報が分かり易いでしょう。
すべての国がこれらを紙ベースで管理しているわけでもないですが、秘匿性の高い情報のリアルタイム管理を、ブロックチェーンによって実現する可能性が予想されます。(なるほど、これは日本の現状は耳が痛いですが、変革要素は大きそうです。)
②税金徴収
次に、税金の徴収。いわゆるスマートコントラクトにより、送金の自動化や手数料のかからない送金が期待されます。
送金に関しては税金に限りません。既存の送金の仕組みは、金融機関などの第三者がエスクローとして、資金回収と送金を仲介しているため(中央集権)、非中央集権なブロックチェーンによって、その手数料をなくす、ということが起こります。
メルカリなど、シェアリングエコノミーは完全な個人間取引ではない?
少し脱線しますが、この「手数料をなくす」というのは、既存のすべてのシェアリングエコノミーに影響を与えることです。
Uber、Airbnb、メルカリなど、個人間取引がなされるサービスをC2C(Consumer to consumer)といいますが、これらは先ほど挙げた「エスクローの仕組み」を取っています。
すなわち、取引が安心して行えるように、信頼の担保としてプラットフォーム側が手数料を取っているわけです。これはそりゃそうだ、という話なのですが、完全な個人間取引ではないわけです。(C2B2C、というのが正しい)
ブロックチェーンにより、この手数料をなくすことが期待できるわけです。
税金の例もシェアリングエコノミーサービスの例も、より透明性が高く、無駄がない取引が理論上、期待されます。
話を政府に戻したいと思います。
③個人情報管理
個人が持つ情報(日本で言えば例えば、マイナンバーなど)に関しても、政府が管理しているものは、ハッカーなどの対象に常に晒されています。
政府は国民のこれらの情報を守る義務がありますから、この重要も大きいでしょう。
各国のリーダーはブロックチェーンに積極的か?
さて、それでは実際に政府の動きはどうなっているのか。
IBMが2017年1月に行った調査によると、主要10カ国のうち、9カ国の政府組織が2018年度中に、ブロックチェーンの推進を決定しています。
この調査では、ブロックチェーンの活用に関して、上記に挙げた3つ以外に、④市民サービス、⑤企業コンプライアンス遵守、⑥契約管理、なども挙げられています。
さらに10カ国のうち7カ国が、同分野における既存の仕組みの崩壊を予想しています。
各国の政府がブロックチェーンに高い関心を示していることがわかります。
日本における政府のブロックチェーン ⑦コンテンツ管理
それでは日本における動きはどのようになっているか。
ブロックチェーンが課題解決できる「モノの価値・信頼を担保する」ということに回帰すると、ブロックチェーンは日本が強みとして持っている “コンテンツ産業” にも大きなベネフィットを与えることが予想されます。
実際に動きがあります。日本政府は2018年6月28日、ゲームやキャラクターなどのコンテンツに関する権利を守り、海賊版などを根絶する目的で、ブロックチェーン導入を進めることを発表。2019年より実証実験を進めていく模様です。
特に、コンテンツの海外市場は2022年には、81兆円(2016年比で27%増)とも言われており、日本が外貨を稼ぐという意味でも大きなカギを握りそうな領域です。
いかがでしょうか。本記事では、政府のブロックチェーンとの関わり方と動向について見ていきました。
結局のところ、新しい技術がどれほど活用されるかは、採択する側(政府)がどれほどの思いを持って、課題と向き合っていくかが鍵となるように思います。
ブロックチェーンにより、政府が現状持つ課題解決に繋がり、より安心安全な市民生活に繋がることを願います。
お読みいただき、ありがとうございました。