【書評】猫沢大学特別講義 ”生きる力とは何か” 人生の目標を決め、一つひとつ達成していくために

生きる力を磨く話題のオンライン小説「猫沢大学」の書評を書きました!

 

こんにちは、@satoshi_gfa18です。4月も下旬になりました。この春から、新生活をお過ごしの方も多いことかと思います。

特に新社会人の方、ご転職やご栄転で新しいことに挑戦される方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。私もこの春から社会人9年目を迎え、先日、自分の会社を興し新たな生活を始めています。

さて今回は、新しい生活をされている方や、若手社会人の方に、ぜひお読みいただきたい小説を一つご紹介します。


生きる力を磨く小説「猫沢大学」

猫沢大学」という最近ツイッターを中心に話題になっているオンライン小説をご存知でしょうか。一言で言うと、「何のために生きるか」を考える読み物と言えるでしょう。

ジャンルは、「自己啓発書」と「物語」の掛け合わせ。類書としては「夢をかなえるゾウ」や「もしドラ」などが同様のジャンルだと思います。

全体で10章からなるストーリーで、ざっくり1時間ちょっとあれば、全部読み切れるでしょう。猫沢大学のコンテンツはネット上で公開されているため、誰でも無料で読むことができます。


あらすじ

  • 舞台は擬人化された猫の世界。主人公のネコ美は「猫は何のために生きるのか」という哲学的な問いを胸に秘めながら、名門の猫沢大学に通い始める

  • 猫沢大学での講義や、ベンチャー企業でのインターン経験を通じ、ネコ美は自分の成長を感じるが、子猫を待ち受ける猫社会の現実は厳しかった…


面白ポイント

自己啓発書としても本格的な内容で、TEDや経営大学院(MBA)などで教えられているようなことまで、余すところなく盛り込まれているのですが、そこは猫の世界です。真剣な内容でも全体的に空気が緩く、意識が高いのか低いのかよく分からないのが特徴ですね(笑)。

随所に小ネタやパロディーが挟まれたり、ストーリー性のある読み物としても面白いため、敷居の高さを感じずにサクサク読み進むことができます。

例えば以下の様な表現が盛り込まれており、読み物としても楽しく読み進められるものでしょう。

「目の前を横切るネズミを見逃してしまう」という事件が全国的に多発しており、スマホのニャがら歩きが社会問題となっている。



私の書評

ここからは、私が読んで感じたことや学びを書いていきます。

冒頭にも書いた通り、この小説には生きる力を磨くためのヒントが書かれています。より具体的に言うと、普段の生活では意識することがない(しかし、誰しもがふと夜中に考えてしまうような)、何のために生きていくか、であったり、どういった目標を持って生きていくべきかどのように幸運を掴むべきか、といった問を解消し、道標となる内容を学ぶことができます。


人生の残り時間

本書では最初の第一章で、人生の残り時間について考えさせられるエピソードが出てきます。どのようなキャリアを進むとしても、このことについて、どこかで(できたら若いうちに)考えるべきであると、私は自分自身の体験から考えており、このことについて特に思うことがあります。

本書でも書かれていますが、何事も「どうなりたいか」と目標を明確に持って取り組むと、達成する確率が高まります。これはみんなある程度は知っている。(頭ではわかっている、だけが多い。)しかしながら、目標をどれくらいで達成しよう、ということは意識しない場合がほとんどなんです。

小説内では、猫沢大学初めのオリエンテーションでこの話題が出てきます。猫は平均すると15年で死ぬが、それを意識しているのか、主人公のネコ美は問われます。


<本文引用>

「お前さんがた、猫の平均寿命はどれぐらいか知っとるか?」それを聞いてドキッとした。そういえば、ネコペディアで調べてなかった。

「調べればすぐ分かるが、猫の平均寿命はだいたい15歳じゃよ。お前さんがたは、だいたい1歳だから、平均的にはあと14年で死ぬ。14年というのは日数でいうとだいたい5000日じゃ。フォッフォッフォ、どうだ、焦るだろ。普段は意識していないから、ぼーっとしてるかもしれんけどな」

残りどれだけの時間があるのか、冷静に見ることで、先ほど述べた目標を明確にすることにも繋がるし、具体的アクションも見えてきます。


実は、同じことが現実世界でも言われています。私が尊敬する起業家に、Dropbox創業者のDrew Houstonという方がいますが、彼が母校のMIT卒業生に向け2013年に行ったスピーチはまさに同じ話をしています。

Drew Houston氏は、30,000日という数字が人間の寿命で、既に何日が過ぎているか意識することで、やりたいこと・自分がやるべきことを達成できる、と話しています。

猫は5,000日に対し、人間は30,000日・・!気づいたあなたは既に何日が経過しているでしょうか。


ちなみに私は25歳の時にこれについて考え、死ぬまでにやり切りたいことを真剣に考え、100個以上のリストに纏めました。そしてあれから5年、海外駐在や転職、独立、起業、と書いてきたことは実現して来ています。まさに本書のネコ美と同じことをやっていたわけです。

このように、読み進めながら自分自身のことを(猫と一緒に)真剣に考えて進めていけるのが小説「猫沢大学」の特徴です。


「夢ってなんだろう」に対する解

「夢を持て!」「夢を叶えるために生きるべし」

こういうセリフを聞く度に、そもそも夢って、、そんな大きなモノ考えたことないしな、、と思うことが多いのではないでしょうか。(私もそうでした)

猫沢大学を読んで私が考えたことですが、思うに、これってどこかで棚卸しして自分で直視しないと、永遠に続いてしまうものです。

夢は、先ほどのやりたいこと、をもうワンステージ大きい視点で見た事柄についてですね。私も今でこそ、それなりには真面目に考えるようになった気がしますが、特に独立するまでは、全然具体的に考えられていませんでした・・。

小説内の第5章でも述べられていますが、実際にこれら自分の夢を自己評価したり、考えるきっかけを作ることが大事で、そういう機会ってなかなか現実世界ではなかったりする。

なぜならこれって、一人ではできないことなんですよね。だから、本書のように、読者の方がネコ美になって、それを疑似体験して共に考える。だからこそ、猫沢大学の価値は大きい


自己分析については第2章でも書かれており、読みながら猫たちと一緒にワークを進めることで、自分自身が理解できるようになっています。


やりたいことは変わっても良い、の意味

さて、本書を読み進めるうちに考えたもう一つのこと。それは「やりたいこと」の変化について。


第5章で以下の名言があるので、先にご紹介しましょう。

「未来を想像するのに怖がる必要なんてない。必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しの猫缶だ』とね。

誰に強制されてるわけじゃないんだから、自分の好きなタイミングでいくらでも変えていいんだ。

小説内にあるこのフレーズが意味することは、自分の未来ややりたいことは変わりうるから、いつでも好きにピポットしてよい、ということ。プライベートもビジネスも、日本国憲法の下でも会社法の下でも、基本的に個人は究極的に自由です。

世の中には、やれグリットだ、石の上にも三年だ、という言葉がありますが、やり抜くことも大切です。しかし、特に情報化時代と呼ばれ、3年、1年、いや半年後だって、短期間で大きくビジネスの変化が起こる状態では、カメレオンのように変化していくことが大切なんです。


あの大手企業のIBMだって、正式名称は「International Business Machine」などといって、秤(はかり)を作っている会社だったのが、コンピューターのハードウェアを作る会社になって、今では無形のソフトウェアやITサービスを提供する会社に変わっています。


やりたいことも同じ。IBMでいうと、企業の存在意義を守るためにみんなで取り組むことであったけれど、変化が不可欠であった。自分のやりたいことだって、時代の波に合わせて変化すべきなんです。だからこそ、先のことを考えすぎず、いまやりたいと純粋に思うことに取り組んで欲しいと思うわけです。


猫沢大学を読みながらビジネススキルも学べる

さて、猫沢大学は「大学」の名の通り、小説を読み進めることで、心理学や経営学に関する内容を理解できるようになっています。(設定では、ニャンコ科学部、という、いわゆる人間科学部)

具体的な目標設定方法について話すから聞いていて。目標設定を行うフレームワークにSMARTというものがある。これは有名だから聞いたことがあるかもしれない。目標設定に必要な要素の頭文字をとったものだよ。

6.3 目標設定の方法


例えば、8章のこの項目は、ダーウィンの進化論についてが物語中で述べられています。

これは経営者の本でも多くの方が書かれていることで、まさに変化への適応能力、常に環境へ適応させ、自らを変えることの大切さについて書かれています。


さらにハロー効果、バタフライエフェクト、スティーブ・ジョブズのコネクティングドッツ(点と点を繋ぐ)、など、TEDや経営大学院(MBA)などで教えられているようなことまで、余すところなく盛り込まれています。

バタフライ効果というのを聞いたことがあるかしら。蝶の羽ばたきのような小さな出来事が、時間の経過や影響の組み合わせによって、徐々に大きな影響となり、最終的には地球の裏側で竜巻を起すかもしれないという世界観よ

偶然と偶然が重なりあい、衝突して、また次の偶然を生み出していく

若手のビジネスパーソンの方には、そういった意味でも役立つコンテンツが多いでしょう。


おまけ:読み物としての面白さ

最後に、猫沢大学の良さはやはり読み物としての面白さでしょう。文章は退屈では読まれない、サクサク読み手が楽しめるからこそ、多くの人に愛される。猫沢大学はまさにそんな小説。

所々に笑いある記載があるのも注目です。

選手の中には、盗みや恐喝といったギャングまがいのことをしている猫もいたし、隠れてマタタビをやっている奴もいた。

当初、ラウンドBで猫缶20万個を出資をしてくれるはずだったセコイゼ・キャピタルも、約束を反故にして、出資額を当初の半分にすると言い出したのよ。

物語自体にストーリー性があるため、読み物としてもとても面白いです。


猫沢大学で考えるきっかけを掴もう

さて、猫沢大学がどんなものか、イメージができたのではないでしょうか。学費?良書は「読者に、先に価値を提供」するのが特徴です。まずは読み進めてみて、ご自身の気づきをたくさん得てくださいな。

そうだ、学費はナシだけど、よかったら以下のSNSリンクから、他の人にも記事を教えてあげてくださいね!

お読みいただき、ありがとうございました。

東京都出身。2011年から株式会社NTTデータで勤務し、在職中にIT責任者として一年半アメリカ・ロサンゼルスに駐在。インド案件を経て帰国後、株式会社メルカリに転職。2018年末独立、2019年起業し、三度目の渡米でニューヨークへ。インターネットが好きです。