誰もが1日1回は使うサービス “LINE”。
そのLINEを生み出した元LINE株式会社社長、森川氏の書籍が発売されました。
日本テレビ、SONYを経て、ベンチャー企業に転身した森川氏、一貫して彼が続けていることは、
①ユーザーの事だけを考えること
②自分が楽しいと思う仕事をすること
③シンプルに考え、無駄を排除すること
にあります。そのエッセンスが満載の本書をご紹介します。
1.成功は捨て続ける
▲急成長を続けるLINE
LINEには新しいサービスを世に生み出すクリエイティブ部門と、既存サービスを運営するためのオペレーション部門の2つがあります。
通常、クリエーターは自らの生み出したサービスは最後まで自分自身で担当したいと思うもの。
しかしながら、LINEでは新しく生み出したサービスが爆発的にヒットしても、それをオペレーション部門に引き継ぐのです。
こうして過去の成功にいつまでもしがみつかず、次へのサービスを生み出す流れができている。強いLINEを生み出す経営のあり方には、常に今の成功に囚われない、という強い想いがあります。
2.動物園状態にしない
社員30人ほどであった旧LINEはわずか4年で急成長し、トップ企業となりました。しかし、それで何が起こってしまったか。結果的に働く皆が”幸せ”になってしまった。
ある人は家を買い、結婚し、豊かな生活を手に入れ、そして早く家に帰るようになった。
それまで皆が必死に目指してきたものを達成し、皆が恵まれた温室にいる動物のように、”動物園化” してしまったといいます。
そこで森川氏は年功序列制度を撤廃。過去の成功で給料が上がった社員を切り、”いま” この時点で最も価値を出している社員に一番給料を支払うモデルに変更したそう。
これにより、会社には本当に価値を出す社員のみが残る、少数精鋭型になったのです。
3.失敗しないために、徹底的に考え抜く
失敗したからといって死ぬわけではない。しかし失敗したことを認めることは間違っている。
森川氏は「絶対に成功させる確証を持つために人は徹底して努力する」といいます。
失敗して良い事業などはないのです。本気で成功を確実に達成するほど考えた人だけが成功する、ということです。
4.仕事は感性でやる
自分がやりたいと思う仕事、入りたいと思うプロジェクトには自ら積極的に入っていくこと。
これこそが至極シンプルであり、仕事ができる人の条件と森川氏は話します。
そんなLINEはどんな社員がいるか。それは、「仕事は自分でとりにいけ」というスタイルを見ればわかります。
採用をする際、お金や地位を求める人は採用せず、人々に感動を与えたい、世界を変えたい、業界一の大物と仕事をしたいといった、価値観や考え方を重視しているといいます。
一方で、会社に育ててもらう、研修とかを期待する教育の観点を期待する人は基本的に取らないそう。
誰でも与えてもらう仕事よりも、自分からこれをやろうと見つけやりたいことをやる、という仕事のスタイルの方が楽しい。そしてそれは自分が好きなこと、得意な領域から生まれます。
5.得意領域を伸ばしていけ
かつて、幼少期の森川少年はとても体が弱かったそう。アトピー性皮膚炎で全身包帯で囲みながら、学校を登校することもあったといいます。
そのことを見かねた母が、我が子の得意領域を活かそう!と、音楽(合唱)をやらせたことをきっかけに、森川氏はそれから大学時代まで、どっぷりと音楽の道にのめり込みます。
その経験から、森川氏は自分が好きな領域で力を発揮する大きさを学びます。
最近の学生の入社面接を目にすると、会社のHPに書いてある「会社の想い」を自分の想いのように話す学生が多い、これは本質を見失っていると森川氏は指摘します。
自分自身が本当に好きなことで、人の想いでなく、自分の想いでできること。
これこそが本当に「良い仕事」ができ、うっすぺらさのない真にその人がやりたい仕事となるようですね。
5つのエピソードをご紹介しましたが、他にも思考、仕事の本質が満載の一冊。LINEを使う側だけでなく、生み出す側にも触れてみてはいかがでしょうか。